\『ステップ・アップ・ツアー』全試合放送中!!詳細はこちら /
Contents
昇格の構造:ランキング特典の詳細な分析
ゴールデンチケット:ランキング1位・2位に与えられるJLPGAツアー出場資格
明治安田ステップ・ランキングで年間1位および2位の成績を収めた選手に与えられる最大の特典は、翌年度のJLPGAツアー(レギュラーツアー)への出場資格である 。これは、多くの選手が目指す最高峰の舞台への切符であり、キャリアにおける大きな飛躍を意味する。
しかし、この特典には極めて重要な条件が付されている。それは、出場資格が「第1回リランキングまで」という期間限定のものである点だ 。
JLPGAが導入しているリランキング制度は、シーズン序盤の成績に基づいて出場選手の優先順位を再編成する仕組みである 。
つまり、ステップ・アップ・ツアーからの昇格者であっても、シーズン開幕から結果を残せなければ、第1回リランキング後に出場機会を失う可能性がある。
この制度は、与えられた特典が完全な保証ではなく、むしろ「試用期間付きのパス」であることを示唆している。
JLPGAツアーという舞台へのアクセスは許可されるものの、その地位を維持するためには、シーズン序盤の約10〜12試合で直ちに結果を出し、リランキングを乗り越えるためのポイントを獲得しなければならないという強烈なプレッシャーが課せられる。
この事実は、単なる報酬という側面だけでなく、選手に即時のパフォーマンスを要求する厳しい試練という側面を浮き彫りにする。
ランキング3位~10位に与えられるQTファイナルステージ出場資格
明治安田ステップ・ランキングで3位から10位に入った選手、および各大会の優勝者には、JLPGAクォリファイングトーナメント(QT)のファイナルステージからの出場資格が付与される 。
QTは、JLPGAツアーへの出場資格を得るための伝統的かつ最も過酷なルートである。複数ステージにわたるこのトーナメントは、数日間の好不調が一年間のキャリアを決定づけるほどの極度の緊張感が支配する場として知られている。実際に選手からは、ファーストステージからファイナルまで「8日間」に及ぶ長く厳しい戦いであったとの声も聞かれる 。
この特典の真価は、この過酷なプロセスの大部分を回避できる点にある。ファースト、セカンドといった初期段階を免除されることで、選手は肉体的、そして何よりも精神的な消耗を大幅に軽減できる。
多くのライバルが数週間にわたる厳しい戦いを経てファイナルステージに到達するのに対し、この資格を持つ選手は、最も重要な最終決戦に、より新鮮で準備の整った状態で臨むことができる。
これは、QTで上位の成績を収め、翌シーズンの出場優先順位を高める上で、計り知れない戦略的優位性となる。したがって、この特典は単なる出場資格ではなく、最も重要な局面で最高のパフォーマンスを発揮するための最適化された機会を提供するものと言える。
明治安田ステップ・ランキング上位者の特典概要
最終ランキング順位 | 付与される特典 | |
1位・2位 | 翌年度JLPGAツアーの第1回リランキングまでの出場資格 | |
3位~10位 | 翌年度のQTファイナルステージ出場資格 | |
各大会優勝者 | 翌年度のQTファイナルステージ出場資格 | |
出典: JLPGA公式サイト |
第2章:飛躍の足掛かりからスターダムへ:キャリア progression のケーススタディ
天才の出現:櫻井心那(2022年女王)の完璧な移行
櫻井心那の2022年シーズンは、ステップ・アップ・ツアーの歴史に残るものだった。年間5勝という圧倒的な成績で賞金ランキング1位に輝き、その才能を証明した 。シーズン当初の目標は「初優勝と賞金女王」だったが、それを遥かに上回る結果を残したことからも、彼女の成功の大きさがうかがえる 。
翌2023年、JLPGAツアーの出場資格を手にすると、その勢いはさらに加速した。シーズン序盤から実力を発揮し、年間4勝を挙げるなど、トッププレーヤーとしての地位を確立した 。彼女の成功は、「ゴールデンチケット」がスターダムへの確かな道筋であることを証明している。
櫻井のキャリアは、ステップ・アップ・ツアーが単に出場資格を与えるだけでなく、選手に「勝利の経験」という貴重な財産をもたらすことを示している。彼女はインタビューで、ステップ・アップ・ツアーでの経験を通じてパッティングに自信を深め、プレッシャーのかかる場面での対処法を学んだと語っている 。
下部ツアーであっても、優勝争いを制して勝利を掴むというプロセスは、選手の精神的な基盤を強化し、大きな自信を生み出す。櫻井がJLPGAツアーでも即座に成功を収めたのは、その卓越した才能に加え、ステップ・アップ・ツアーで培われた「勝者のメンタリティ」があったからに他ならない。これは、選手の「育成」というツアーの核心的使命が効果的に機能している証左である。
成功の青写真:河本結(2018年女王)の王道的な昇進
河本結のキャリアは、ステップ・アップ・ツアーからの成功への青写真と言える。2018年に年間4勝を挙げて賞金女王に輝くと 、翌2019年シーズンの3月には早くもJLPGAツアー「アクサレディスゴルフトーナメント」で初優勝を飾った 。
この迅速な成功は、櫻井の軌跡が特異な例ではなく、ステップ・アップ・ツアーのトップ選手がJLPGAツアーでも即戦力として活躍するというパターンが存在することを示している。河本はこの年、トップ10入りを11回記録するなど、シーズンを通して安定した高いパフォーマンスを維持した 。
トップコンテンダーたちの軌跡
宮澤美咲(2022年ランキング2位): ランキング2位の選手の視点を提供するのが宮澤美咲の事例である。彼女はシーズン最終盤まで熾烈な2位争いを繰り広げ、見事その座を確保した 。
自身のシーズンを「100点に近い」と評価するほど充実した一年を送り、JLPGAツアーへの切符を手にした 。翌年のJLPGAツアーでは、序盤戦での成績がその後のキャリアを左右するというプレッシャーの中で戦うことになった 。
国際的な成功(ウー・チャイェン、リ・ハナ): 2023年女王のウー・チャイェンや2020-21年女王のリ・ハナの活躍は、ステップ・アップ・ツアーがJLPGAツアーを目指す海外選手にとっても有効なルートであることを示している 。
近年のステップ・アップ・ランキング上位者のキャリア推移(2018年~2023年)
年度 | 順位 | 選手名 | ステップ・アップ年間獲得賞金 | 翌年JLPGAツアー獲得賞金 | 翌年JLPGAツアー賞金ランク | 主な実績 | |
2023 | 1 | ウー・チャイェン | ¥17,517,749 | ¥33,810,518 (2024年) | 25位 (2024年) | 2024年メルセデスランク32位 | |
2022 | 1 | 櫻井 心那 | ¥25,114,100 | ¥100,478,449 | 4位 | 2023年JLPGAツアー4勝 | |
2022 | 2 | 宮澤 美咲 | ¥14,682,200 | ¥487,500 | 135位 | – | |
2020-21 | 1 | リ ハナ | ¥23,738,166 | ¥7,368,750 | 81位 | – | |
2019 | 1 | ヌック・スカパン | ¥23,382,100 | ¥1,974,000 | 97位 | – | |
2018 | 1 | 河本 結 | ¥19,301,333 | ¥80,016,856 | 2位 | 2019年JLPGAツアー1勝 | |
注: 2024年のデータはシーズン途中のものである。賞金額は各シーズンの公式記録に基づく 。 |
明治安田ステップ・ランキング
2025年8月1日更新
順位 | 氏名 | 金額 | 優勝回数 | 試合数 |
---|---|---|---|---|
1 | 浜崎 未来 | ¥10,359,214 | 1 | 11 |
2 | 水木 春花 | ¥8,948,500 | 1 | 11 |
3 | 福田 萌維 | ¥8,289,047 | 0 | 9 |
4 | 皆吉 愛寿香 | ¥8,035,000 | 1 | 10 |
5 | 大久保 柚季 | ¥6,725,600 | 1 | 9 |
6 | 一ノ瀬 優希 | ¥6,290,000 | 1 | 5 |
7 | 鬼頭 さくら | ¥6,119,200 | 1 | 11 |
8 | 與語 優奈 | ¥6,020,000 | 1 | 3 |
9 | 中村 心 | ¥5,541,500 | 0 | 5 |
10 | 加藤 麗奈 | ¥5,336,100 | 1 | 7 |
11 | エイミー・コガ | ¥4,995,333 | 0 | 11 |
12 | 山本 景子 | ¥4,844,666 | 0 | 9 |
13 | 青木 香奈子 | ¥4,705,000 | 1 | 4 |
14 | 高木 萌衣 | ¥4,678,166 | 0 | 9 |
15 | 成澤 祐美 | ¥4,389,666 | 0 | 10 |
16 | 上久保 実咲 | ¥4,312,133 | 0 | 10 |
17 | 酒井 美紀 | ¥4,310,023 | 0 | 11 |
18 | 前田 羚菜 | ¥3,730,166 | 1 | 11 |
19 | 古家 翔香 | ¥3,700,166 | 0 | 11 |
20 | 大林 奈央 | ¥3,646,833 | 0 | 12 |
21 | 東 浩子 | ¥3,576,000 | 0 | 9 |
22 | 山下 心暖 | ¥3,433,665 | 0 | 10 |
23 | 平岡 瑠依 | ¥2,866,523 | 0 | 11 |
24 | 石井 理緒 | ¥2,787,800 | 0 | 9 |
25 | 宅島 美香 | ¥2,754,866 | 0 | 8 |
26 | 本 明夏 | ¥2,579,250 | 0 | 11 |
27 | 常 文恵 | ¥2,564,333 | 0 | 6 |
28 | 六車 日那乃 | ¥2,506,666 | 0 | 5 |
29 | 澁澤 莉絵留 | ¥2,432,800 | 0 | 7 |
30 | 但馬 友 | ¥2,415,415 | 0 | 12 |
31 | 福山 恵梨 | ¥2,222,214 | 0 | 7 |
32 | 若林 舞衣子 | ¥2,123,700 | 0 | 8 |
33 | 黄 アルム | ¥2,080,833 | 0 | 11 |
34 | 平塚 新夢 | ¥2,044,914 | 0 | 10 |
35 | 星野 杏奈 | ¥2,000,500 | 0 | 10 |
36 | 大西 葵 | ¥1,890,166 | 0 | 8 |
37 | 小俣 柚葉 | ¥1,883,583 | 0 | 10 |
38 | 宮澤 美咲 | ¥1,858,500 | 0 | 9 |
39 | 西山 ゆかり | ¥1,822,200 | 0 | 7 |
40 | 藤井 美羽 | ¥1,788,100 | 0 | 11 |
41 | 成田 美寿々 | ¥1,742,500 | 0 | 7 |
42 | P.サイパン | ¥1,653,833 | 0 | 6 |
43 | 神谷 桃歌 | ¥1,626,166 | 0 | 7 |
44 | 高野 あかり | ¥1,538,000 | 0 | 10 |
45 | 寺岡 沙弥香 | ¥1,485,000 | 0 | 3 |
46 | 宮﨑 乙実 | ¥1,457,000 | 0 | 10 |
47 | 福田 侑子 | ¥1,427,166 | 0 | 10 |
48 | 服部 真夕 | ¥1,416,050 | 0 | 9 |
49 | 荒木 優奈 | ¥1,400,000 | 0 | 1 |
50 | 西澤 歩未 | ¥1,392,880 | 0 | 10 |
2025年 JLPGAステップ・アップ・ツアー日程(8月以降)
日程 | 大会名 / 開催コース | 賞金総額 / 優勝者 |
---|---|---|
08.28 – 08.30 |
山陰ご縁むす美レディース
大山平原ゴルフクラブ (鳥取県)
|
¥20,000,000
優勝:桑山 紗月
|
09.19 – 09.21 |
山陽新聞レディースカップ
東児が丘マリンヒルズゴルフクラブ (岡山県)
|
¥30,000,000
優勝:木下 彩
|
09.25 – 09.27 |
2025 中国新聞ちゅーピーレディースカップ
芸南カントリークラブ (広島県)
|
¥20,000,000
優勝:権藤 可恋
|
10.07 – 10.10 |
ロレックスランキングフラッグシップイベントSky レディスABC杯
ABCゴルフ倶楽部 (兵庫県)
|
¥40,000,000
優勝:岡山 絵里
|
10.15 – 10.17 |
ECCレディスゴルフトーナメント
北六甲カントリー倶楽部 東コース (兵庫県)
|
¥20,000,000
優勝:山城 奈々
|
10.24 – 10.26 |
サロンパスレディスオープン
若木ゴルフ倶楽部 (佐賀県)
|
¥20,000,000
優勝:藤本 麻子
|
10.29 – 10.31 |
ヒルズレディース 森ビルカップ
静ヒルズカントリークラブ (茨城県)
|
¥20,000,000
優勝:森井 あやめ
|
11.06 – 11.08 |
明治安田レディスオープンゴルフトーナメント
茨木国際ゴルフ倶楽部 (大阪府)
|
¥20,000,000
優勝:サイ ペイイン
|
11.13 – 11.15 |
山口周南レディースカップ
周南カントリー倶楽部 (山口県)
|
¥20,000,000
優勝:高橋 しずく
|
11.19 – 11.21 |
京都レディースオープン
城陽カントリー倶楽部 (京都府)
|
¥20,000,000
優勝:山城 奈々
|
\『ステップ・アップ・ツアー』全試合放送中!!詳細はこちら /