2025年ステップ・アップ・ツアー

2025年大王海運レディスオープン!青木香奈子、崖っぷちからのプロ初V!

<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>引用
激闘!ルーキー対決は大逆転プレーオフへ! 青木香奈子、崖っぷちからのプロ初V! ~大王海運レディスオープン~
エリエールゴルフクラブ松山が熱狂に包まれた、国内女子下部ステップアップツアー「大王海運レディスオープン」最終日。主役となったのは、プロの頂を目指す若き才能たち。特に、2024年度プロテストを突破したばかりのルーキーたちの躍動が、観る者の心を揺さぶった。

単独首位で最終日を迎えたのは、25歳のルーキー・青木香奈子。宮崎が生んだ期待の新星だ。しかし、その背中には、同じくルーキーで19歳の中村心がぴったりと食らいつく。レギュラーツアーでも優勝争いを経験している中村は、序盤からチャージをかけ、一時は青木を抜き去り単独首位に立つ場面も。まさに、一進一退、息詰まるデッドヒートが繰り広げられた。

誰もが青木の逃げ切りを確信しかけた終盤。ゴルフの女神は、あまりにも残酷な試練を用意していた。15番ホール、青木のボールはグリーンを捉えきれずボギー。続く16番、17番でもスコアを落とし、まさかの3連続ボギー。築き上げたリードは一瞬にして消え去り、土壇場で中村に追いつかれ、通算12アンダーで並んでホールアウト。勝負の行方は、同期ルーキー同士による非情なプレーオフへと持ち越された。

プレーオフの舞台は18番パー4。異様な緊張感が漂う中、1ホール目、2ホール目は両者ともにパー。互いに一歩も譲らない、意地とプライドがぶつかり合う展開に、ギャラリーは固唾を飲んだ。特に2ホール目、青木は最大のピンチを迎える。2打目をグリーン奥の難しいライへ打ち込んでしまう。誰もが万事休すかと思われたが、ここから青木が驚異の粘りを見せる。起死回生のアプローチをピンそばに寄せ、執念のパーセーブ! この一打が、確実に流れを呼び込んだ。

そして迎えた運命の3ホール目。ピンチをしのいだ青木は、2打目をピン手前2.5メートルの絶好のバーディチャンスにつける。対照的に、中村はアプローチをオーバーさせ、痛恨のボギー。勝負は決したかに見えたが、青木は冷静だった。「返しのパットは打ちたくない」。ウィニングパットを慎重に、しかし自信を持って打ち抜くと、ボールはカップへと吸い込まれた!

劇的なバーディフィニッシュ! 崖っぷちからの大逆転で、青木香奈子がプロ初優勝の栄冠を掴み取った。レギュラーツアーでもまれた経験と、ルーキー離れした勝負強さを見せつけ、同期対決を制した。

惜しくも敗れた中村心、そして通算11アンダーで3位に入った同じくルーキーの荒木優奈をはじめ、トップ10に7人ものルーキーが名を連ねた今大会。彼女たちの輝きは、女子ゴルフ界の未来を明るく照らしている。

地元・愛媛県西条市出身の丹萌乃も、決勝ラウンドを粘り強く戦い抜き43位タイでフィニッシュ。多くの声援を受け、健闘を見せた。

手に汗握る展開、そして涙と笑顔の結末。大王海運レディスオープンは、ゴルフファンに忘れられない興奮と感動を与えてくれた。青木香奈子のプロ初優勝は、新たなスター誕生を予感させる、まさに伝説の始まりとなるだろう。

中村 心(2位:-12)
「あっけなく負けてしまった感じです。前半は4バーディーでいい感じだったのですが、後半はダブルボギーもあり、流れが掴めませんでした。プレーオフ、強い気持ちで臨みましたが、青木さんが良いプレーをしていた。2度のプレーオフ、優勝できず悔しい結果になってしまって、壁は高いですね。ただ、3日間良いプレーもたくさんありました。来週は、パナソニックオープンに出場するので、この流れのまま優勝争いができたら」(JLPGA公式)

荒木 優奈(3位:-11)
「パッティングさえ決まればという一日。1打差という結果を振り返ると、本当に悔しいですね。3日間連続のアンダーで、次戦に向けて勢いがついた。来週は、JLPGAツアーに出場します。気温も暖かくなってきたので、開幕の時より距離感も合っている。この勢いのまま上位に入れるように頑張りたい」(JLPGA公式)

水木 春花(5位タイ:-8)
「きょうは、ショットの調子が良く、ほとんどのホールでパーオンに成功。第1日は、優勝後の試合という事もあって、自分にプレッシャーかけてしまっていた。ただ、その悪い流れを断ち切れたのは大きいです。2週連続優勝には遠く及ばなくて悔しいですが、成長を感じています。次戦は、台湾でのCTBCレディスオープンは高額賞金大会。ランキング争いにも大きく影響するので、ぜひ勝ちにいきたいですね」(JLPGA公式)