クラブセッティング

【2025年版】都玲華プロ 2025年クラブセッティングの徹底分析

2024年11月にプロテストに合格し、97期生として2025年シーズンを戦う都玲華プロのクラブセッティングは、単なるルーキーのそれとは一線を画す、極めて高度な戦略性に基づき構築されています。

都玲華プロの2025年シーズンにおける機材戦略

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彼女のバッグ(WITB – What’s In The Bag)は、メインの用具契約であるダンロップ(スリクソン、ゼクシオ、クリーブランド)への忠誠と、ルーキーイヤーを戦い抜き「ルーキー・イヤー優勝」という目標を達成するための徹底した「最適化」という、二つの要素が高次元で融合した好例と言えます。

本レポートは、2025年シーズン、特に11月の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」時点の最新セッティングを詳細に分解し、機材の技術的な観点からその選択の意図を深掘りするものです。

分析の核心は、以下の3点に集約されます。

  1. 「スリクソン」と「ゼクシオ」の戦略的混用: アスリートモデル(スリクソン)と、寛容性・高弾道(ゼクシオ)を、ロングゲームの番手ごとに明確に使い分けています。

  2. 「コンボアイアン」の採用: アイアンセットを単一モデルで組まず、ミドルアイアン(寛容性)とショートアイアン(操作性)で異なるモデル、さらには異なるシャフトフレックスを組み合わせています。

  3. 契約外パターの採用: スコアメイクの核となるパターにおいて、契約メーカーの枠を超え、工学的な安定性を求めて「L.A.B. GOLF」を採用しています。

これらの選択は、都プロが自身のスイング特性を深く理解し、機材の性能を最大限に引き出すために、極めて緻密なフィッティングと調整を行っていることを示しています。

都玲華プロ 最新クラブセッティング(2025年 ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン時点)

カテゴリ モデル名 ロフト/番手 シャフト フレックス/重量帯
ボール スリクソン Z-STAR ♦ DIAMOND (2025)
ドライバー スリクソン ZXi ツアーAD FI 50g台 / S
FW ゼクシオ エックス (2020) 3W (15°) ツアーAD FI 50g台 / S
FW ゼクシオ エックス (2020) 5W (18°) ツアーAD FI 50g台 / S
FW スリクソン ZXi 7W (21°) ツアーAD FI 60g台 / SR
ハイブリッド ゼクシオ エックス (2023) 5H (23°) グラファイトデザイン ツアーAD VF HY 75g / R
ハイブリッド ゼクシオ エックス (2023) 6H (26°) グラファイトデザイン ツアーAD VF HY 75g / R
アイアン スリクソン ZX5 Mk II #6, #7 ダンロップ Miyazaki CODEX 80g台 / R
アイアン スリクソン ZXi5 #8, #9, PW ダンロップ Miyazaki CODEX 80g台 / S
ウェッジ クリーブランド RTZ ツアーラック 48° NSプロ 850GH 80g台 / R
ウェッジ クリーブランド RTZ ツアーラック 54° NSプロ 850GH 80g台 / R
ウェッジ クリーブランド RTZ ツアーラック 58° NSプロ 850GH 80g台 / R
パター L.A.B.GOLF OZ.1i (N/A) (N/A)
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基盤となる契約関係:都プロを支える「チーム」

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プロゴルファーのクラブセッティングを分析する上で、その基盤となる契約関係の理解は不可欠です。機材の選択は、選手の好みやパフォーマンスだけでなく、スポンサーとのパートナーシップという商業的基盤の上に成り立っています。

都プロの場合、2024年のプロテスト合格を経て、ルーキーイヤー(2025年)のパフォーマンスを最大化するための強力なサポート体制が組まれています。

用具契約 (ダンロップスポーツ)

都プロのセッティングの核は、ダンロップスポーツとの用具契約です。これにより、彼女のバッグは「スリクソン(SRIXON)」「ゼクシオ(XXIO)」「クリーブランド(Cleveland Golf)」というダンロップ傘下の主要ブランドで構成されています。

特に、ダンロップスポーツの公式サイトでは、彼女が「CGウエッジ使用ダンロップ契約プロ」としてフィーチャーされており、クリーブランドゴルフのウェッジが彼女の強み、あるいは同社が彼女のショートゲームにマーケティング上の期待を寄せていることが示唆されます。

この契約が、彼女のセッティング(ドライバーからボールまで)の大部分を規定する基本方針となっています。

アパレル契約 (and per se / アンパスィ)

2025年シーズンより、都プロはアンパスィ(and per se)とウエア着用契約を締結しています。

これは単なる衣装提供にとどまりません。都プロ自身が「会場で先輩方が着られている可愛いウエアを見て、いつも華やかで素敵だなぁ、かっこいいなぁと思っていたので夢のようです」とコメントしている通り、パフォーマンス(機能性)だけでなく、プロとしてのブランディングとモチベーションに直結する重要な契約です。

同契約発表の場で、彼女が2025年の目標として「アンパスィの可愛いウエアを着て、ルーキー・イヤー優勝することです!」と力強く宣言していることからも、アパレルが彼女の士気を高める重要な要素であることがわかります。

and per se アンパスィメンズ ライトレインブルゾン 軽量 AMS1803R1 CACD_01

サポート契約 (ZAMST / 日本シグマックス)

クラブ(機材)やアパレル(外見)に加え、都プロは「身体(フィジカル)」のサポートにも万全を期しています。医療メーカーである日本シグマックスとスポンサーシップ契約を締結し、同社のスポーツサポート・ケアブランド「ZAMST(ザムスト)」のサポートを受けています。

これは、クラブセッティングと同様に「フィジカル・セッティング」を重視していることの表れです。ルーキーとして年間を通じたツアーを戦い抜くためには、コンディショニングと怪我の予防が不可欠であり、この契約は彼女のプロフェッショナルとしての意識の高さを物語っています。

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スリクソン ZXi と ゼクシオ エックスの戦略的融合

都プロのロングゲーム(ドライバー、フェアウェイウッド、ハイブリッド)のセッティングは、彼女の「最適化」へのこだわりが最も色濃く表れているセクションです。

スリクソン ZXi 9°

2025年11月時点での使用ドライバーは「スリクソン ZXi」のロフト9°モデルです。シーズン当初の3月時点では「スリクソン 10.5°」と情報開示されていたことから、シーズンを通じてスイングの成熟やヘッドスピードの向上に合わせ、より低ロフトで低スピン、飛距離を追求できる9°モデルへと移行した可能性が考えられます。

これは、スピン量を最適化し、飛距離を最大化しようとする極めて攻撃的な調整です。

装着シャフトは「ツアーAD FI」の50g台、フレックスS。このシャフトは先端剛性が高く、軽量(50g台)でありながらも当たり負けせず、低スピンと操作性を両立させる現代的なスペックです。彼女が過度なパワーヒッターではなく、シャフトの性能を活かした効率とミート率で飛ばすタイプであることを示唆しています。

FW & UT分析:ブランドとモデルイヤーの混在

最も注目すべきは、フェアウェイウッド(FW)とハイブリッド(UT)の構成です。彼女のバッグには、最新モデルの「スリクソン ZXi」(7W)と、旧モデルである「ゼクシオ エックス (2020)」(3W, 5W)、そして「ゼクシオ エックス (2023)」(5H, 6H)が混在しています。

プロにとって、特に地面から直接打つFWやUTは、絶対的な信頼(特定の距離を確実に打てること、構えやすいこと)が求められるクラブです。2020年モデルのゼクシオ エックスがバッグに入り続けているのは、それが最新モデルよりも彼女にとっての実戦での結果と信頼性で上回っているという何よりの証拠です。

ブランドの混在は、明確な役割分担を示しています。アスリート向けで操作性重視の「スリクソン」(ドライバー、7W)と、寛容性が高くボールが上がりやすい「ゼクシオ」(3W, 5W, 5H, 6H)を、番手の役割に応じて明確に使い分けています。これは、契約の枠内で許される最大限の最適化と言えます。

ロングゲームのシャフト

このセクションの分析で最も重要なのは、シャフトの重量とフレックスの「流れ(フロー)」です。

  • ドライバー (9°): 50g台 / S

  • FW (3W, 5W / 15°, 18°): 50g台 / S

  • FW (7W / 21°): 60g台 / SR

  • HY (5H, 6H / 23°, 26°): 75g / R

通常、クラブが短くなるにつれてシャフトは重く、硬くなる($S \to S \to X$ など)のが一般的ですが、都プロのセッティングは「S (50g) SR(60g) R (75g)」という流れになっています。

これは意図的な選択です。7Wやハイブリッドは、地面からボールを高く上げ、グリーンに止める役割が求められます。あえて柔らかいスペックである60g台のSRや75g台のRフレックスを採用することで、シャフトのしなりを最大限に利用し、少ない力でも高弾道と適正なスピンを安定して生み出そうとしています。

これは、パワーで抑え込むのではなく、シャフトの性能(タメと走り)を引き出す、極めて洗練されたセッティング戦略です。

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「アイアンゲーム」スリクソン コンボセットの戦略的採用

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アイアンセッティングにおいても、都プロの「最適化」への意志は明確です。彼女は単一モデルのセットを使用せず、性能の異なる2種類のアイアンを組み合わせる「コンボセット」を採用しています。

コンボセットの分析 (ZX5 Mk II / ZXi5)

シーズン当初の情報では「スリクソン #6〜PW」とだけ記載されていましたが、シーズン後半の詳細なセッティングにより、その内訳が判明しました。

  • 6番, 7番: スリクソン ZX5 Mk II

  • 8番〜PW: スリクソン ZXi5

この使い分けには、明確な技術的意図があります。「ZX5 Mk II」は、スリクソンの中では「ツアーキャビティ」に分類され、比較的寛容性が高く、飛距離性能に優れています。グリーンを狙う上で距離が必要であり、かつミスヒットへの許容範囲が求められる「ミドルアイアン」(#6, #7)にこのモデルを選択するのは、極めて合理的です。

対して「ZXi5」は、最新のアスリートモデルであり、操作性、スピンコントロール性能、そして打感が優先されます。ピンをデッドに狙い、スコアメイクに直結する「ショートアイアン」(#8, #9, PW)にこのモデルを投入することで、アイアンセット全体で「寛容性」と「操作性」という相反する要素の両立を図っています。

アイアンシャフトの分析 (Miyazaki CODEX フレックス・フロー)

このコンボセットの意図は、装着されているシャフトによって、さらに強固なものとなります。使用シャフトは「ダンロップ Miyazaki CODEX」の80g台で統一されていますが、フレックスが番手によって変えられています。

  • #6, #7 (ZX5 Mk II): R フレックス

  • #8〜PW (ZXi5): S フレックス

これは、ロングゲームのシャフトフロー(セクション3)で見た思想と完全に一致しています。ミドルアイアン(#6, #7)にはあえて柔らかいRフレックスを採用し、シャフトのしなりを活かして高弾道でグリーンに止めることを意図しています。

一方で、ショートアイアン(#8〜PW)には硬めのSフレックスを採用し、インパクトの安定性を高め、スピンのコントロール性を向上させています。これにより、引っ掛けや吹け上がりといったミスを抑え、狙った距離を正確に打つことを可能にしています。

ヘッド(コンボ)とシャフト(フレックス違い)の両方で「番手別最適化」を徹底していることは、彼女のセッティングがいかに緻密に計算されているかを証明しています。

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クリーブランド、L.A.B. GOLF、そしてZ-STAR

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最終的なスコアメイクを担うウェッジ、パター、ボールの選択は、プロの個性が最も強く現れる領域です。

ウェッジ分析 (Cleveland RTZ Tour Rack)

都プロは「CGウエッジ使用ダンロップ契約プロ」として、契約通りダンロップのウェッジ専門ブランドである「クリーブランド RTZ ツアーラック」で足元を固めています。

ロフト構成は48°、54°、58°の3本体制です。アイアンセットのPW(スリクソン ZXi5)のロフトが43°~44°と想定されるため、そこから48°(ギャップウェッジ)、54°(サンドウェッジ)、58°(ロブウェッジ)という流れは、4°~6°の均等なギャップ(飛距離の階段)を形成しており、極めてオーソドックスかつ合理的です。

注目すべきはシャフトです。「NSプロ 850GH」(80g台)のRフレックスを採用しています。これは、アイアン(Miyazaki 80g台)の流れを汲む重量帯であり、特にミドルアイアン(#6, #7)と同じRフレックスが選択されています。

これにより、フルショット(48°)からフィーリングが重視されるアプローチ(54°, 58°)まで、スイングのリズムとフィーリングの統一性を図っていると考えられます。

パター分析 (L.A.B.GOLF OZ.1i)

このセッティングにおける最大の注目点がパターです。都プロは「L.A.B.GOLF OZ.1i」を使用しています。

L.A.B. GOLFは、ダンロップ(スリクソン、クリーブランド)とは全く関係のない、独立系のパターブランドです。パターはプロにとってスコアに直結する「聖域」であり、ダンロップ契約プロでありながら、あえて契約外のパターを使用する(スポンサーがこれを許可する)という事実は、彼女がいかに「スコアメイクの現実」を優先しているかを示す強い証拠です。

L.A.B.(”Lie Angle Balance”)の名の通り、このブランドはストローク中にフェースが開閉しようとするトルクをゼロにする「ライ角バランス」技術を特徴としています。

このパターを選ぶことは、「伝統的な形状」や「フィーリング」ではなく、「ストロークの安定性」という工学的なアドバンテージを最優先で求めていることを意味します。ルーキーイヤーのプレッシャーがかかる場面で、機械的・工学的に安定したストロークを求める彼女の戦略が垣間見えます。

ボール分析 (Srixon Z-STAR ♦ DIAMOND)

セッティング全体を機能させる「接着剤」の役割を果たしているのが、ボールです。都プロは「スリクソン Z-STAR ♦(ダイヤモンド)」を使用しています。

これは、スピン系の「Z-STAR」とディスタンス系の「Z-STAR XV」の中間に位置する「第3の選択肢」です。ダイヤモンドは、「ドライバーでの低スピン(飛距離)」と「アイアンでの高スピン(コントロール)」という、相反する性能を両立させることを目指したモデルです。

これは、低スピン設計の「スリクソン ZXi」ドライバーと、スピンコントロールを重視する「スリクソン ZXi5」アイアンという、彼女のセッティングと完璧に合致しています。バッグの中のすべてのクラブの性能を最大限に引き出すための、理想的な選択と言えます。

都玲華のセッティングが示す「最適化への意志」

結論として、都玲華プロの2025年シーズンのクラブセッティングは、単なるダンロップ契約プロの「支給品リスト」では断じてありません。

それは、「契約の枠組み(スリクソン、ゼクシオ、クリーブランド)を最大限に活用しつつ、個人のパフォーマンスを1%でも高めるためには、一切の妥協を許さない」という、ルーキーらしからぬ「最適化への強い意志」の表れです。

その意志は、以下の具体的な選択に明確に表れています。

  1. 信頼の優先: 信頼できる旧モデル(ゼクシオ エックス 2020)を最新モデルと共存させる柔軟性。

  2. 番手別最適化(ヘッド): 寛容性(ZX5 Mk II)と操作性(ZXi5)を両立させるコンボアイアンの採用。

  3. 番手別最適化(シャフト): ロングゲーム(S SR R)とアイアン(R/Sコンボ)における、常識にとらわれない精密な「フレックス・フロー」戦略。

  4. 聖域の確保: 契約の枠を超えてでも、自らのストロークを工学的に支えるL.A.B. GOLFパターの採用。

これらのセッティングは、彼女が自身のスイングとプレースタイルを深く理解し、クラブフィッターと高度な対話を重ね、自らの弱点を補い、長所を伸ばすために機材を徹底的にチューニングしていることを証明しています。

都玲華プロは、機材の観点から見ても、極めてクレバーで戦略的なゴルファーであると結論付けられます。