JLPGAプロテスト

JLPGAプロテスト第2次予選、静ヒルズを舞台に国際色豊かな激戦開幕

風雲急を告げるプロテスト第2次予選の初日。静ヒルズを舞台に繰り広げられた戦いは、早くも国際色豊かな実力者たちがリーダーボード上位を席巻する展開となった。その中で、一人の中国人選手が圧巻のプレーで抜け出した。

首位を奪取した実力者

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この日の主役は、中国の潘潤枝(パン・ルンジ)だ。安定したプレーでスコアを伸ばし、5アンダーの「67」をマーク。単独首位で初日を終えた 。

彼女はアマチュアの無名選手ではない。既に中国女子プロゴルフ協会(CLPGA)ツアーを主戦場とし、現在のロレックスランキングは437位。

米LPGAツアーの「Blue Bay LPGA」など、トップレベルの大会にも出場経験を持つ、歴戦のプロフェッショナルである 。彼女の首位発進は、驚きではなく、この過酷なサバイバルレースを勝ち抜くという強い意志表示に他ならない。

追撃集団の顔ぶれ

その潘を1打差の4アンダーで追う2位タイグループは、まさに多士済々。グローバル化が進む女子ゴルフ界の現在地を象徴するような顔ぶれが揃った。

  • ホン・イェウン(韓国): 2002年生まれの若手ながら、2022年には世界最高峰の米LPGAツアーでデビューを果たした実力者 。彼女のようなトップツアー経験者が日本のプロテストに挑戦しているという事実は、JLPGAツアーが国際的に高い魅力と競争力を持つツアーへと変貌を遂げていることを示している。

 

  • 倉林夏(日本): 2004年生まれ、神奈川県出身のアマチュア。ドライバーの飛距離を武器に、神奈川県のアマチュアタイトルを獲得するなど、日本の次世代を担うと期待されるホープの一人だ 。経験豊富な海外勢に臆することなく、堂々と渡り合っている。

 

  • 肥後莉音(オーストラリア): オーストラリアのゴールドコーストで生まれ育ち、米国の名門ペパーダイン大学で腕を磨いたという異色の経歴を持つ 。オーストラリアのアマチュアゴルフ界で実績を積み、国際的な環境で培われたゴルフが、日本のプロテストでどう通用するのか注目される。

このように、リーダーボードの上位には中国、韓国、オーストラリア、そして日本の選手が名を連ねており、プロテストがもはや国内の新人発掘の場にとどまらず、世界中の実力者が日本のツアーカードを狙う国際的な戦場へと変化している現実を浮き彫りにした。

これは、日本の若手選手たちにとって、合格へのハードルが年々高まっていることを意味する。国内トップクラスのアマチュアであるだけでは不十分で、予選の段階から国際レベルのプロと互角に戦う力が求められているのだ。

順位 選手名 (国籍) To Par スコア (Rd 1)
1 潘 潤枝 (CHN) -5 67
T2 ホン・イェウン (KOR) -4 68
T2 倉林 夏 (JPN) -4 68
T2 肥後 莉音 (AUS) -4 68
T2 田中 陽菜 (JPN) -4 68
T2 伊藤 愛華 (JPN) -4 68
T2 金谷 一希 (JPN) -4 68
T8 山本 実希 (JPN) -3 69
T8 寺田 紅蘭 (JPN) -3 69
T8 城戸 姫菜 (JPN) -3 69
T8 宮内 美空 (JPN) -3 69
T8 リー・ミン (TPE) -3 69
T21 長野 未祈 (JPN) -1 71
T21 谷田 侑里香 (JPN) -1 71
T43 臼井 蘭世 (JPN) 0 0
T52 佐渡山 理莉 (JPN) +1 +1
T77 笹原 優美 (JPN) +3 +3
T82 髙原 花奈 (JPN) +4 +4

トップ争いの裏で

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リーダーボードの頂点だけでなく、その少し後ろにも、注目すべき選手たちの静かな、しかし熱い戦いが繰り広げられている。それぞれが異なる背景とプレッシャーを背負い、最終プロテストへの切符を掴むために奮闘している。

「米国組」の確かな一歩

特に注目されるのが、米LPGAのステップアップツアーにあたるエプソンツアーを主戦場とする長野未祈と谷田侑里香の2人だ 。

彼女たちは、この予選のためだけに太平洋を渡ってきた。時差調整、日本の気候や芝への適応など、他の選手にはないハンディキャップを抱えながらも、ともに1アンダー「71」という安定したスコアで初日を終えた 。

この結果は、彼女たちの高いプロ意識と適応能力の証明である。彼女たちの存在は、JLPGAプロテストのレベルを測る上での貴重な指標となる。

世界最高峰ツアーのすぐ下で戦う選手たちが、このテストでどのような成績を残すのか。それは、日本のプロテストがグローバルな基準でどの位置にあるのかを示す、一つの答えとなるだろう。

期待を背負う妹

JLPGAツアーで活躍する臼井麗香プロを姉に持つ臼井蘭世も、多くの注目を集める一人だ 。有名な姉を持つことは、知名度というメリットをもたらす一方で、「姉妹プロ」という看板が常に比較と期待という重圧となってのしかかる、諸刃の剣でもある。

彼女は初日をイーブンパーの「72」で終え、予選通過のボーダーライン上で2日目を迎える 。ここから粘りを見せ、姉の待つツアーへの道を切り開くことができるか、彼女のプレーから目が離せない。