2025年JLPGAプロテスト合格者

2025年2度目の挑戦JLPGAプロテスト合格・松原柊亜

2025年11月7日、岡山県笠岡市のJFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部は、日本女子ゴルフ界の未来を担う選手たちにとって、天国と地獄を分ける運命の場所となった。4日間にわたる72ホールの過酷な戦い、「2025年JLPGA最終プロテスト」の最終日。この年の合格率は、わずか2.9%という極めて狭き門であった。

この過酷な試練の舞台で、一人の若きゴルファーが、キャリアの新たな扉をこじ開けた。松原 柊亜(まつばら しゅあ)。彼女の名前は、通算1アンダー、トータル287ストローク、15位タイという堂々たる成績と共に、2025年度プロテスト合格者リストに刻まれた。

プロフィールと「世代最強」のプレースタイル

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2025年のJLPGAツアーに「ルーキー」として参戦する松原柊亜とは、一体どのような選手なのか。そのプロフィールとプレースタイルは、彼女が次世代のスター候補であることを明確に示している。

プロフィール詳細

松原 柊亜インスタグラム

  • 氏名: 松原 柊亜(まつばら しゅあ)
  • 生年月日: 2006年11月30日
  • 出身地: 栃木県鹿沼市
  • 身長/体重: 164cm / 54kg
  • 血液型: A型
  • ゴルフ歴: 3歳~。父の影響で始める。
  • 学歴: 日本ウェルネス高等学校 卒業、日本ウェルネススポーツ大学 在学中。

彼女のゴルフの根幹を成すのは、その圧倒的なパワーだ。彼女自身、「得意クラブ」として公言し、「武器」と評されるのがドライバーである。JLPGAの公式プロフィールによれば、その平均飛距離は240ヤード。これは、現代のJLPGAツアーで戦う上で不可欠な要素である。

しかし、彼女の魅力は飛距離だけではない。プロテスト合格時の「自己PR」として、彼女は「強気のパットで頑張ります」と宣言している。パワー(ドライバー)とフィネス(強気のパット)の融合。この二面性こそが、彼女のプレースタイルの核心である。

注目すべきは、彼女が「目標とするプロゴルファー」として河本結(かわもと ゆい)選手の名前を挙げている点だ。河本プロは、JLPGAツアーでの勝利を経て、米国LPGAツアーにも挑戦した、国内屈指のパワーヒッターであり、アグレッシブなプレースタイルで知られる。

松原が河本プロを目標に据えるということは、彼女が単にツアーでプレーするだけでなく、「パワーで他を圧倒し、世界を目指す」という明確なビジョンを持っていることの表れと言えるだろう。

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アマチュア時代の金字塔と”プロ”への布石

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松原柊亜が「プロテスト合格」で注目を集める以前から、彼女はアマチュアゴルフ界でその名を轟かせてきた、紛れもない「世代最強」のプレーヤーであった。ユーザーが求める「エピソード」とは、まさにこの圧倒的なアマチュア時代の戦歴に他ならない。

彼女の快進撃は、中学時代から始まっていた。

2020年、中学2年生にして「関東中学校ゴルフ選手権 夏季大会」を制覇。翌2021年には、中学3年生で「全国中学校ゴルフ選手権 夏季大会」で優勝し、全国の中学生の頂点に立った。

その勢いは、強豪校・日本ウェルネス高等学校に進学後、さらに加速する。

2022年、高校1年生で「関東高等学校ゴルフ選手権 夏季大会」に優勝。そして2023年、高校ゴルフの集大成とも言える「全国高等学校ゴルフ選手権」でついに優勝を果たした。

この輝かしい経歴は、彼女が同世代の中で突出した存在であったことを示している。以下の表は、彼女がいかに体系的にアマチュアタイトルを制覇してきたかを物語っている。

主要大会 結果 分析
2020年 関東中学校ゴルフ選手権 優勝 中学2年で関東を制覇
2021年 全国中学校ゴルフ選手権 優勝 中学日本一の称号を獲得
2022年 関東高等学校ゴルフ選手権 優勝 高校1年で関東を制覇
2023年 全国高等学校ゴルフ選手権 優勝 高校日本一の称号を獲得

中学の関東・全国制覇、そして高校の関東・全国制覇。この「クリーン・スイープ(完全制覇)」とも言える実績は、彼女が「プロテストに合格して当然」と目されるエリートであったことの証明である。

さらに彼女は、アマチュア時代からプロの舞台を経験している。2022年にJLPGAツアー2試合、2023年には3試合に出場し、ナショナルオープンである「日本女子オープンゴルフ選手権」にも出場している。これらの経験が、プロテストという極限のプレッシャー下で彼女を支える礎となったことは間違いない。

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2025年最終プロテストの詳細と「1年」の重み

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松原のアマチュア時代の輝かしい実績は、裏を返せば、2024年のプロテスト失敗がいかに大きな挫折であったかを物語っている。2024年、彼女は最終プロテストで42位に終わり、合格ライン(上位26人)には遠く及ばなかった。

この「1年の重み」を背負って臨んだのが、2025年11月4日から7日にかけてJFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部で開催された最終プロテストだった。

この年のテストは、トップ合格を果たした伊藤愛華、そして2位ながら通算15アンダーという驚異的なスコアを記録した中国出身のジ ユアイなど、ハイレベルな戦いとなった。

さらに、JLPGA公式YouTubeチャンネルによる、実況・解説なしの「現地音声のみ」のライブ配信が実施され、選手たちには独特の緊張感が漂っていた。

その中で松原は、トータル287ストローク、通算1アンダーを記録。順位は15位タイで、合格ラインを余裕でクリアした。

この「2024年の失敗」と「2025年の成功」の間には、彼女のキャリアを分析する上で極めて重要な「ビジネス的」な動きがある。人材教育コンサルティングを手掛けるアチーブメント株式会社が、松原とのスポンサー契約締結を発表したのは、2025年3月24日のことである。

これは、彼女が2024年のプロテストに「失敗した後」であり、かつ2025年のテストに「合格する前」という、まさにキャリアの狭間での契約締結だった。アチーブメント社は、「プロゴルファー・松原柊亜」ではなく、「プロテスト合格を目指す、ポテンシャルのあるアマチュア」に投資したのである。

これは、彼女のアマチュア時代の圧倒的な実績)と、彼女の将来性に対する非常に高い評価がなければ成立しない「賭け」であった。

このスポンサーシップは、彼女が単なる一選手ではなく、その将来性を含めて「投資対象」として見なされていたことの証左であり、2025年のプロテスト合格は、この投資に対する最初にして最大のリターンとなった。

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コーチングとビジネスマネジメント

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現代のプロゴルファーは、個人であると同時に「チーム」でもある。松原柊亜のキャリアを支える体制は、非常に体系化されており、彼女の成功が偶然ではないことを示している。

コーチング体制と「日本ウェルネス」というプログラム

松原のキャリアを語る上で、「日本ウェルネス」の存在は欠かせない。彼女は日本ウェルネス高等学校を卒業し、現在は日本ウェルネススポーツ大学に在学中である。

彼女のコーチングは、特定の個人に師事する旧来のスタイルではなく、この「日本ウェルネス」という強力なゴルフプログラムによって形成されている。同校ゴルフ部の指導者紹介ページには、その充実した体制が示されている。

「ゴルフの為の日本一の環境作りを進めます」と語る柴岡信一郎 部長、「日本から世界に誇れるプロを育成できる環境」を目指す乾哲幸 副部長の下、スイングレッスンやスコアメイクを担当する中井賢人 ヘッドコーチ、パフォーマンスアップと怪我の予防を指導する板垣悠真 トレーニングコーチなどが名を連ねる。

松原のゴルフは、この組織的なサポート体制の中で、技術、メンタル、フィジカルのあらゆる面から磨き上げられてきたものである。

ビジネスマネジメントの株式会社クロス・ビー

プロアスリートにとって、競技と並行して重要になるのがビジネスマネジメントである。松原は、この点でも早期からプロフェッショナルな体制を敷いている。

彼女が株式会社クロス・ビーとマネジメント契約を締結したのは、2023年11月1日。これは、彼女がまだ高校2年生(当時16歳)であり、プロテストに挑戦するよりもずっと前のタイミングである。

この事実は、彼女のマネジメントチームが、彼女を「世代の逸材」として早期に認識し、アマチュア時代からプロへの移行、スポンサーシップの管理、キャリアプランの設計までを包括的にサポートする戦略を取っていたことを示している。

前述のアチーブメント社とのスポンサー契約も、このマネジメント体制があったからこそ、2024年のテスト失敗後という難しいタイミングでも実現できたものと考えられる。彼女のプロテスト合格は、クロス・ビー社にとっても、数年来のプロジェクトが結実した瞬間であった。

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新時代の「フリーエージェント」:クラブとウェア契約の分析

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プロテストに合格した今、松原柊亜はアスリートとして、そして「ビジネス」として、最も魅力的な存在の一つとなっている。特に、彼女のクラブセッティングとウェア契約の状況は、彼女の市場価値を雄弁に物語っている。

クラブセッティング

2025年11月のプロテスト合格時点において、松原柊亜の「クラブセッティング(使用クラブ)」に関する詳細な情報は、公式には発表されていない。彼女の武器が平均240ヤードのドライバーであることは知られているが、特定のメーカーと用具使用契約を結んでいるという情報はない。

ゴルフウェアブランドとスポンサー

ウェアに関しても、状況は同様に興味深い。株式会社クロス・ビーは、彼女のプロテスト合格を報じるリリースの中で、彼女の所属を「フリー」と記載している。これは、特定のゴルフウェアブランドと専属の「アパレル契約」を結んでいないことを示唆している。

もちろん、彼女はアチーブメント株式会社とのスポンサー契約に基づき、同社のロゴをウェアに掲載してプレーしている。しかし、これはスポンサーシップ契約であり、ゴルフウェアブランドとの包括的なアパレル契約とは異なる。

「フリーエージェント」としての価値

クラブもウェアも「フリー」。この事実は、彼女が「サポートされていない」ことを意味するのではない。むしろ、その逆である。

彼女は、

  1. 中学・高校の全国タイトルを制覇した「圧倒的なアマチュア実績」
  2. 240ヤードのドライバーと「強気のパット」というスター性のあるプレースタイル
  3. 2024年の失敗を乗り越えた「リベンジの物語」
  4. 「JLPGAプロ」という正規の資格

という、アスリートとしての商品価値を構成する全ての要素を兼ね備えた「超大型フリーエージェント(FA)」として、2026年シーズンを迎えるのである。

彼女と彼女のマネジメントチーム(クロス・ビー)は今、全てのゴルフメーカー、全てのアパレルブランドに対して、最も強い交渉力を持つポジションにいる。このオフシーズン、彼女の元には、クラブ、ボール、ウェア、その他のスポンサーシップに関して、数多くのオファーが殺到することになるだろう。

プロテスト合格という「資格」をまず確実に手に入れ、その価値を最大化するタイミングでビジネス交渉に臨む。これは、極めて戦略的なキャリアマネジメントの勝利と言える。

2026年シーズンへの展望と結論

2025年11月7日、JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部で「人生で一番幸せです」と語った松原柊亜。その瞬間は、彼女のキャリアのゴールではなく、壮大なプロフェッショナルキャリアのスタートラインに立った瞬間に過ぎない。

2026年シーズン、彼女は19歳のルーキーとしてJLPGAツアーに本格参戦する。アマチュア時代の実績、240ヤードの飛距離、そして一度の挫折を乗り越えた精神的な強さ。彼女は、2026年シーズンの「ルーキー・オブ・ザ・イヤー(新人賞)」の最有力候補の一人であることは間違いない。

目標とする河本結プロのように、アグレッシブなゴルフで国内ツアーを席巻し、やがては世界の舞台へと羽ばたいていく—。松原柊亜というアスリート、そして彼女を巡る「ビジネス」の物語は、今、まさにその第一章が始まったばかりである。

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