ゴルフ中継を見ていると、解説者が「ここはコンシードですね」と話したり、一緒に回っているプレーヤーが短いパットを残した相手に「OK」と声をかけたりする場面を見たことはありませんか?
「コンシード」や「OK」という言葉は知っていても、その正確な意味や、どのような状況で使われるべきなのか、自信を持って「知っている」と言える方は意外と少ないかもしれません。
特にゴルフを始めたばかりの方や、競技志向でないエンジョイゴルファーにとっては、「本当に打たなくていいの?」「どのくらいの距離ならOKなの?」と戸惑うことも多いでしょう。
ストロークプレーのプライベートラウンドで「OK」を出し合った経験はあるけれど、それが正式なルールに基づいているのか不安に思った、という声もよく聞きます。
ご安心ください。この記事では、ゴルフ用語の中でも特に重要な「コンシード」について、その基本的な意味から、正しい使い方、適用される場面、そして知っておくべきマナーまで、初心者にも分かりやすく徹底的に解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたはコンシードに関する疑問がスッキリ解消し、ゴルフ場でのプレーや観戦が、より一層深みを持って楽しめるようになるはずです。
ゴルフのコンシード その基本と使い方
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rookiegolfgirls.com:image- コンシードの基本的な意味とは?
- コンシードが認められるのはいつ?
- なぜマッチプレーだけに存在するのか?
- コンシードの正しい伝え方(英語と日本語)
- 「OKパット」との微妙な違い
- コンシードを「する側」の心理
コンシードの基本的な意味とは?
- コンシードは「譲歩」「承認」を意味する英語
- ゴルフでは相手の次のストロークを「入ったもの」とみなすこと
- 主にマッチプレーで使われる用語
ゴルフにおける「コンシード(concede)」とは、英語で「譲歩する」「承認する」といった意味を持つ言葉です。
ゴルフ用語としては、主に「マッチプレー」という競技形式において、相手の次のストロークや、そのホール、あるいはマッチ全体の結果を「相手が成功したもの」として認め、譲歩する行為を指します。
最も一般的に使われるのは、グリーン上での短いパットの場面です。
相手のボールがカップに非常に近い位置に止まった際、プレーヤーが「それは入ったものとみなします」と意思表示をすることで、相手は実際にそのパットを打つ必要がなくなります。
これが「コンシード」です。
この行為は、日本語のゴルフシーンでは「OK」と呼ばれることが非常に多いです。
「そのパットはOKです」という声かけは、まさにコンシードの意思表示に他なりません。
ただし、厳密にはコンシードはパットだけに限られません。
例えば、相手が深いバンカーに入れてしまい、どう考えても1打で出せないと判断した場合、相手が打つ前に次のストロークをコンシードすることもルール上は可能です。
また、ホール単位(そのホールを相手の勝ちと認める)や、マッチ単位(その試合全体を相手の勝ちと認める)でのコンシードも存在します。
コンシードは、相手のプレーを尊重し、明らかに結果が見えているプレーを省略することで、プレーの進行をスムーズにするための紳士的なルールとも言えます。
しかし、その適用は非常に厳格で、特定のプレー形式、すなわちマッチプレーでのみ正式に認められているという点が重要です。
なぜなら、ストロークプレーでコンシードを認めると、スコアの集計に重大な矛盾が生じてしまうからです。
このコンシードという用語とルールを正しく理解することは、ゴルフの奥深さを知る上で欠かせない要素の一つと言えるでしょう。
次のセクションでは、このコンシードが具体的にいつ、どのような形式で認められるのかを詳しく解説していきます。
コンシードが認められるのはいつ?
- コンシードが正式に認められるのは「マッチプレー」のみ
- パット、ホール、マッチの3種類がある
- 相手のプレー中であればいつでも宣言可能
「コンシード」というルールが正式に認められ、効力を発揮するのは、ゴルフの競技形式のうち「マッチプレー」に限られます。
ここが非常に重要なポイントです。
私たちが普段テレビ中継でよく目にするプロのトーナメントや、一般的なコンペで採用される「ストロークプレー」では、コンシードはルールとして存在しません。
ストロークプレーは、決められたホール数をいかに少ない打数で回るかを競う競技です。
そのため、すべてのプレーヤーが全ホールを最後までホールアウト(カップイン)する必要があります。
もしストロークプレーで「OKパット」を認めてしまうと、ある人は10cmのパットを免除され、ある人は打たなければならないという不公平が生じ、スコアの正当性が失われてしまいます。
一方、マッチプレーは、1ホールごとに勝ち負けを決め、最終的に何ホール勝利したかで勝敗を決める、1対1(または2対2)の対戦形式です。
この形式では、相手との間でのみルールが完結するため、コンシードが認められています。
コンシードが認められるタイミングは、相手のプレー中であればいつでも可能です。
最も多いのは前述の通り、グリーン上で相手のボールがカップの近くに止まった時です。
相手がパットの準備に入る前に「That’s good(OKです)」と声をかけることで、そのパットはコンシード( conceded)されたことになります。
また、ホールをコンシードすることもできます。
例えば、自分が大叩きをしてしまい、相手がすでにパーやバーディーで上がれそうな状況で、これ以上プレーを続けてもそのホールの勝ちはないと判断した場合、「このホールはあなたの勝ちです」と宣言することができます。
さらに、マッチ(試合)そのものをコンシードすることも可能です。
体調不良や、明らかに勝敗が決まってしまったと判断した場合に、相手に「負けを認めます」と伝える行為です。
このように、コンシードはマッチプレーを円滑に進めるために不可欠なルールであり、その適用範囲はパットから試合全体にまで及びます。
なぜマッチプレーだけに存在するのか?
- マッチプレーは1対1の対戦形式だから
- ストロークプレーで認めるとスコアが不公平になる
- プレーの迅速化と紳士協定の側面を持つ
コンシードがマッチプレーだけに存在する理由は、その競技の根本的な性質の違いにあります。
マッチプレーは、極論すれば「その場で対戦している相手との合意」がすべてです。
1ホールごとに勝敗を決め、その積み重ねで試合の結果が決まります。
例えば、あるホールで相手が10cmのパットを残したとします。
自分が「それは入るだろう」と判断し、「OK(コンシード)」を出したとします。
相手はそのパットを打たずに1打としてカウントし、ホールアウトします。
この行為によって不利益を被る(かもしれない)のは、コンシードを出した自分自身だけです。
他の組でプレーしている選手のスコアには一切影響を与えません。
だからこそ、当事者間の合意であるコンシードが認められるのです。
しかし、これがストロークプレーだったらどうでしょうか。
ストロークプレーは、参加者全員が同じルールのもと、総打数を競う競技です。
もしAさんがBさんに10cmのパットを「OK」したとします。
一方で、別の組のCさんは、同じ10cmのパットを外してしまいました。
これでは、「実際に打ったCさん」と「打たずに免除されたBさん」との間で、明確な不公平が生じてしまいます。
ストロークプレーのスコアは、全参加者と比較される絶対的な記録です。
そこに「OK」という当事者間の曖昧な判断が入る余地は、ルールの公平性を保つために一切排除されなければなりません。
これが、ストロークプレーでは「完全ホールアウト」が義務付けられ、コンシードが絶対に認められない理由です。
マッチプレーにおいてコンシードが存在するもう一つの理由は、プレーの迅速化です。
明らかに結果が見えている短いパットをいちいち打つ手間を省き、テンポよく試合を進めるという目的もあります。
もちろん、そこには「この距離なら相手は外さないだろう」という、相手の技量への敬意と信頼関係(紳士協定)が根底にあることも忘れてはなりません。
コンシードの正しい伝え方(英語と日本語)
- 最も一般的なのは「OK」または「That’s good」
- 「Pick it up(拾っていいよ)」も使われる
- ジェスチャーで示すこともある
コンシードの意思を相手に伝える方法は、万国共通で非常にシンプルです。
最も一般的で、ゴルフ場でも頻繁に耳にするのが「OK(オーケー)」です。
相手が短いパットを残し、アドレスに入る前やボールをマークしたタイミングで、はっきりと「OKです」と声をかけます。
英語圏では「That’s good(ザッツ・グッド)」や、単に「Good(グッド)」と言うことも非常に多いです。
これは「そのパットは(入ったものとして)良いですよ」というニュアンスです。
どちらを使っても構いませんが、国際的な場や海外のプレーヤーと回る際は「That’s good」がスマートかもしれません。
また、「Pick it up(ピック・イット・アップ)」という表現も使われます。
これは「(打たなくていいから)ボールを拾い上げてください」という、より直接的な表現です。
これらの言葉と同時に、あるいは言葉の代わりにジェスチャーで示すこともあります。
例えば、相手のボールに向かって手のひらを軽く振るような動作(「もういいですよ」という合図)や、カップを指差したあとにボールを拾う仕草をするなどです。
重要なのは、相手が次のストロークを打つ前に、明確に意思表示をすることです。
曖昧な態度や、相手がパターを構えてから声をかけるようなタイミングの悪い伝え方は、相手を混乱させるだけでなく、マナー違反と受け取られる可能性もあります。
コンシードは、相手のプレーを尊重し、スムーズな進行を促すためのものです。
タイミングよく、はっきりとした声やジェスチャーで伝えることを心がけましょう。
逆に、自分がコンシードされた(「OK」をもらった)場合は、「Thank you(ありがとう)」と感謝を述べ、速やかにボールをピックアップするのがマナーです。
もし「OK」と言われたにもかかわらずパットを打つと、それは「練習」とみなされ、ルール違反(マッチプレーではそのホールの負け)になる可能性があるので注意が必要です。
「OKパット」との微妙な違い
- 「OKパット」はコンシードの一種
- コンシードはパット以外(ホール、マッチ)も含む
- プライベートゴルフでの「OK」はローカルルールに近い
ゴルフ初心者の方や、日本のゴルフ環境に慣れている方にとって、「コンシード」よりも「OKパット」という言葉の方が馴染み深いかもしれません。
では、この二つの言葉に違いはあるのでしょうか。
結論から言えば、「OKパット」は「コンシード」という大きなルールの中の、最も代表的な一場面を指す俗称(あるいは和製英語的な表現)と言えます。
前述の通り、コンシードには「パットのコンシード」「ホールのコンシード」「マッチのコンシード」の3種類があります。
このうち、グリーン上で相手の短いパットを免除する行為、すなわち「パットのコンシード」が、日本では「OKパット」と呼ばれているのです。
したがって、マッチプレーにおいて「OKパット」を出す行為は、正式なルールである「コンシード」そのものです。
しかし、ここで注意が必要なのは、私たちが普段のプライベートなゴルフで使っている「OKパット」の扱いです。
日本の多くのゴルフ場では、ストロークプレーのラウンドであっても、同伴者同士で「OK」を出し合う光景が日常的に見られます。
これは主に、プレーの進行を早める(スロープレー防止)という目的で行われている、日本独自の慣習のようなものです。
もちろん、これは正式なゴルフのルール(ストロークプレー)には反しています。
公式な競技やコンペであれば、10cmのパットであっても必ずホールアウトしなければなりません。
プライベートなラウンドでの「OKパット」は、あくまでその場の同伴者間でのみ通用する「ローカルルール」あるいは「暗黙の了解」に過ぎないのです。
一方、「コンシード」という言葉は、本来のマッチプレーのルールに基づいた、より広範な「譲歩」の行為全体を指す正式な用語です。
「OKパット」はコンシードの一形態ですが、コンシードは「OKパット」だけではない、という関係性を理解しておくと良いでしょう。
マッチプレーについて学ぶ際は「コンシード」、プライベートゴルフの会話では「OKパット」と、使い分けるのが適切かもしれません。
コンシードを「する側」の心理
- 相手の技量への敬意と信頼
- プレーの迅速化(スロープレー防止)
- 戦略的な駆け引きの側面
マッチプレーにおいて、相手にコンシードを出す(「OK」を出す)プレーヤーは、どのような心理でその判断を下しているのでしょうか。
大きく分けて三つの側面があります。
一つ目は、相手の技量に対する敬意と信頼です。
例えば、カップまで30cmの真っ直ぐなラインを残した相手に対し、「この距離なら、あなた(プロや上級者)が外すはずがない」というリスペクトを込めて「OK」を出します。
これは、無駄なプレーを省略させるという、ゴルフの紳士的な側面を象徴する行為です。
二つ目は、プレーの迅速化です。
マッチプレーは1対1の真剣勝負であり、長引けば集中力も体力も消耗します。
明らかに結果が見えている短いパットを省略し、テンポよく次のホールへ進むことは、お互いにとってメリットがあります。
特にライダーカップのような団体戦では、後ろの組の進行にも影響するため、この「プレーファスト」の意識は非常に重要です。
そして三つ目が、最も興味深い「戦略的な駆け引き」としての側面です。
マッチプレーでは、コンシードの出し方一つで、相手に精神的なプレッシャーを与えることができます。
例えば、序盤のホールでは、1m近い微妙な距離のパットでもあえて「OK」を出すことがあります。
これをされると、相手は「このくらいの距離は入ると思われている」と感じる一方で、実際にその距離を打つ練習(感触を確かめる機会)を奪われることになります。
そして、勝負どころの終盤ホールで、同じくらいの距離(あるいはもっと短い距離)のパットが残った時、今度はあえてコンシードをせず、厳しく「打たせる」のです。
序盤で打つ機会を奪われていた相手は、「これを外したら…」という極度のプレッシャーの中で、その日初めての微妙な距離のパットを打たなければなりません。
このように、コンシードは単なる親切心だけでなく、マッチを有利に進めるための高度な戦略ツールとしても使われるのです。
コンシードを巡る戦略とマナー
- コンシードは拒否できる?ルールの解説
- 相手にコンシードを強要するのはNG
- ストロークプレーで「OK」を出すのは違反?
- 練習グリーンでの「OK」の扱いは?
- コンシードが勝敗を分ける?戦略的活用法
- ゴルフ コンシードに関するFAQ(よくある質問)
- ゴルフのコンシードを知ってプレーを深く楽しもう(まとめ)
コンシードは拒否できる?ルールの解説
- 一度宣言されたコンシードは取り消せない
- コンシードされた側は拒否できない
- 「OK」と言われたら必ずピックアップする
マッチプレーにおいて、相手から「OKです(コンシードします)」と宣言された場合、プレーヤーはそれを拒否することはできるのでしょうか。
例えば、「いや、自分は最後まで打ちたい」と主張することは許されるのでしょうか。
結論から言うと、コンシードを拒否することはできません。
ゴルフ規則において、コンシードは相手(または相手チーム)から明確に意思表示がなされた時点で即座に成立します。
一度成立したコンシードは、宣言した側も取り消すことはできませんし、された側も拒否することはできません。
相手が「OK」と言ったにもかかわらず、そのボールをストロークした場合、その行為はルール上「練習」とみなされます。
そして、マッチプレーにおいてホール(この場合はグリーン上)で練習ストロークを行うことは、規則違反(一般の罰)となり、そのホールの負けが宣告されてしまいます。
これは非常に厳しいペナルティです。
なぜこのような厳格なルールになっているのでしょうか。
それは、もし拒否を認めると、前述した「戦略的なコンシード」が成り立たなくなるからです。
相手にプレッシャーをかけるためにあえて「打たせたい」場面や、逆に相手に「打つ練習をさせたくない」場面があります。
コンシードする・しないの権利は、あくまでも「相手側」にあるのです。
「OK」と言われたら、たとえ自分が打ちたかったとしても、素直に感謝(Thank you)を述べてボールをピックアップするのが、唯一の正しい対応です。
このルールを知らないと、親切心で「OK出たけど、一応打っておこう」とした行為が、そのホールの負けという最悪の結果を招きかねません。
マッチプレーをプレーする際は、この「コンシードは絶対(拒否不可・取り消し不可)」という原則を、肝に銘じておく必要があります。
これは、コンシードが単なる「省略」ではなく、マッチの勝敗に直結する「ルール行為」であることの証左です。
相手にコンシードを強要するのはNG
- コンシードは相手の権利であり、要求するものではない
- 「OKですよね?」と聞く行為はマナー違反
- 紳士的なスポーツとしての品位を保つ
コンシードに関するマナーとして、絶対にやってはいけない行為があります。
それは、相手に対してコンシードを要求したり、強要したりすることです。
例えば、自分のボールがカップのすぐそばに止まったときに、相手プレーヤーの顔を見ながら「これ、OKですよね?」と同意を求めるような言動は、最も忌み嫌われるマナー違反の一つです。
前述の通り、コンシードを「する」か「しない」かの判断は、100%相手プレーヤー(あるいは相手チーム)に委ねられています。
それは相手の権利であり、こちらから口出しできる領域ではありません。
たとえカップインまで1cmの距離であっても、相手が「打ってください(Play)」と言えば、プレーヤーは打たなければなりません。
相手に「OK」を要求する行為は、相手の判断力を疑う失礼な行為であると同時に、ゴルフというスポーツの紳士性を著しく損なうものです。
もし相手がコンシードを出すそぶりを見せない場合は、何も言わずに黙ってボールをマークし、自分の打順が来たら(あるいは相手の許可を得て先に)ストロークを行うのが正しいマナーです。
ゴルフは「審判のいないスポーツ」とも言われ、プレーヤー自身の誠実さや、相手への敬意によって成り立っています。
コンシードを出すか出さないかは、相手の自由意志による判断です。
出してもらえたら「ありがとう」と感謝し、出してもらえなければ「当然のこと」として、次のパットに集中する。
この潔い姿勢こそが、マッチプレーを戦う上で、また一人のゴルファーとして最も大切な心構えと言えるでしょう。
自分のプレーに集中し、相手の判断(コンシード)を静かに待つ。
これが、コンシードにまつわる最も重要なエチケットです。
ストロークプレーで「OK」を出すのは違反?
- ストロークプレーでの「OK」は明確なルール違反
- 公式競技では失格になる可能性もある
- プライベートゴルフでもスコアの正当性は失われる
ここまで主にマッチプレーにおけるコンシードについて解説してきましたが、最も一般的な競技形式である「ストロークプレー」ではどうでしょうか。
友人同士のプライベートなラウンドや、社内コンペなどで、短いパットを「OK」として拾い上げる光景は、日本のゴルフ場では日常茶飯事です。
しかし、厳密なルールに則れば、これは明確なルール違反となります。
ストロークプレーの基本原則は、ゴルフ規則3.3cに定められている通り、「各ホールでホールアウトする」ことです。
ホールアウトとは、ボールがカップの中に入り、静止することです。
つまり、1cmのパットであっても、実際に打ってカップインさせない限り、そのホールは終了したことになりません。
もし「OK」をもらってボールをピックアップし、次のホールへ進んでしまった場合、そのプレーヤーはホールアウトしなかったことになります。
これが公式な競技(月例杯やクラブ選手権など)であれば、そのプレーヤーは失格となります。
では、なぜプライベートゴルフでは「OK」が横行しているのでしょうか。
その最大の理由は「プレーファスト(進行の迅速化)」です。
特に初心者やアベレージゴルファーが多い組では、短いパットに手間取り、スロープレーの原因となることが多々あります。
そのため、「お互い様」の精神で短いパットを免除し合い、スムーズな進行を優先するという、日本独自のゴルフ文化(あるいはローカルルール)が定着しているのです。
プライベートゴルフで「OK」を出すこと自体を全否定するものではありません。
しかし、「ストロークプレーでのOKは、あくまで正式なルールからは逸脱した、その場限りの便宜的な措置である」という事実は、すべてのゴルファーが理解しておくべきです。
もしハンディキャップの申請などで「正しいスコア」を提出する必要がある場合は、プライベートなラウンドであっても、必ず最後までホールアウトするように心がけましょう。
練習グリーンでの「OK」の扱いは?
- 練習グリーンはルールの適用外の場所
- 「OK」や「コンシード」という概念は存在しない
- あくまで個人の練習の場
ゴルフ場には、スタート前やプレー後にパットの練習をするための「練習グリーン」が設けられています。
ここで他のプレーヤーと一緒に練習している際、「OK」という概念は存在するのでしょうか。
答えは「いいえ」です。
練習グリーンは、その名の通り「練習」をするための場所であり、ゴルフ規則が適用される「プレー中」のエリア(コース)ではありません。
したがって、マッチプレーの「コンシード」や、ストロークプレーの「ホールアウト」といったルールは一切適用されません。
練習グリーンでは、自分が納得するまで、同じラインから何度もパットを打つことができます。
カップのそばに寄ったボールを、誰かから「OK」をもらう必要も、自分で「OK」と判断して拾い上げる必要もありません。
カップインするまで打ち続けてもよいですし、寄った時点で「入った」とみなして、次の練習に移っても構いません。
すべてはプレーヤー個人の自由です。
ただし、練習グリーンは多くのプレーヤーが共同で利用する場所です。
ルールはありませんが、守るべきマナーは存在します。
例えば、長時間同じカップを占有しない、他のプレーヤーのラインを踏まない、大きな声で騒がない、といった配慮は必要です。
時折、練習グリーンで友人同士が「1球交代でどこまで寄せられるか」といったミニゲームを楽しんでいる光景を見かけます。
その際に「OKはワングリップ(パターのグリップの長さ)まで」といったローカルルールを決めて遊ぶことはあるかもしれません。
しかし、それはあくまでプライベートな遊びのルールです。
ゴルフの正式な「コンシード」とは全く異なるものであることを理解しておきましょう。
練習グリーンは、本番のコースで「OK」と言われるようなパットではなく、「OK」と言ってもらえない微妙な距離のパットを確実に沈めるために、技術を磨く場所なのです。
コンシードが勝敗を分ける?戦略的活用法
- コンシードはマッチプレーの重要な戦略の一つ
- 序盤は甘く、終盤は厳しく「打たせる」
- 相手のパットの癖や調子を見極める
コンシードは、単なる「プレーの省略」や「親切心」だけではありません。
特にハイレベルなマッチプレーにおいては、勝敗を左右する極めて重要な「戦略」となります。
プロゴルファーや上級者がマッチプレーでコンシードをどのように戦略的に使っているか、その一例をご紹介します。
最も古典的で有名な戦術が、「序盤は甘く、終盤は厳しく」というものです。
試合が始まったばかりの序盤の数ホールでは、相手が1m、あるいは1.5mといった、外す可能性も十分にある微妙な距離のパットを残しても、あえて「OK(コンシード)」を出します。
これをされた相手は、「ラッキー」と思うと同時に、「自分はこの程度の距離は入ると思われているんだな」という心理状態になります。
そして何より、その「微妙な距離のパットを実際に打つ」という経験を積むことができません。
試合が進行し、終盤の勝負どころ(例えば、17番ホールや18番ホール)を迎え、両者の緊張が最高潮に達したとします。
ここで相手が、序盤に「OK」をもらっていたのと同じ1mのパットを残しました。
この場面で、今度はコンシードを出しません。
「打ってください」と、冷徹に宣言します。
相手は、その日初めて「勝敗がかかった場面で、微妙な距離のパット」を打たなければなりません。
序盤に練習(実戦での確認)ができていないため、グリーンの速さやラインの感覚に一抹の不安を抱えたまま、震える手でパットすることになります。
結果として、普段なら簡単に入るパットを外してしまう、ということが往々にして起こるのです。
また、相手が特定のライン(例えばスライスライン)を苦手にしていると分かっていれば、フックラインの短いパットは「OK」を出し、苦手なスライスラインが残った時だけ「打たせる」という戦術もあります。
このように、コンシードは相手の心理を読み、精神的に揺さぶりをかけるための強力な武器となります。
いつ「OK」を出し、いつ「打たせる」か。その判断こそが、マッチプレーの醍醐味であり、勝敗を分ける鍵となるのです。
ゴルフ コンシードに関するFAQ(よくある質問)
- Q1: コンシードの「OK」はどのくらいの距離まで出すのが普通ですか?
- Q2: マッチプレーでコンシードされたパットを打ったらどうなりますか?
- Q3: ストロークプレーのコンペで「OK」を出してもいいですか?
ここでは、ゴルフのコンシードに関して、初心者の方やゴルファーからよく寄せられる質問について、FAQ形式で回答します。
Q1: コンシードの「OK」はどのくらいの距離まで出すのが普通ですか?
A1: これは非常に難しい質問で、明確な答えはありません。
なぜなら、コンシードは相手の権利であり、その判断基準はプレーヤーのレベル、その日のグリーンの状態、試合の状況によって大きく異なるからです。
プロのマッチプレーでは、カップをかすめる程度の数cmでも「打たせる」こともあれば、1m近いパットが「OK」になることもあります。
プライベートゴルフで慣習的に行われる「OKパット」の目安としては、「パターのグリップの長さ(ワングリップ)以内」としているローカルルールが多いようですが、これも公式なものではありません。
あくまで、コンシードを出す側の裁量に委ねられています。
Q2: マッチプレーでコンシードされたパットを打ったらどうなりますか?
A2: 重大なルール違反となり、ペナルティが課されます。
相手から「OK(コンシード)」を宣言された時点で、そのストロークは「行われたもの」として成立します。
にもかかわらず、そのボールを打つ行為は「練習ストローク」とみなされます。
マッチプレーにおいて、ホールのプレー中に練習ストロークを行うことは規則で禁止されており(規則5.5b)、そのプレーヤーは「そのホールの負け」となります。
「OK」と言われたら、感謝してすぐにボールを拾い上げるのが鉄則です。
Q3: ストロークプレーのコンペで「OK」を出してもいいですか?
A3: 競技の公平性を保つため、絶対にやめてください。
ストロークプレーの公式・非公式を問わず、「コンペ(競技会)」と名のつくものでは、すべてのプレーヤーが「ホールアウト(カップイン)」する義務があります。
一部の組だけが「OK」を出し合っていると、他の組と条件が異なり、スコアの正当性が失われます。
もし「OK」を出してホールアウトしなかったことが発覚した場合、そのプレーヤーは失格となるのが原則です。
進行を早めたい気持ちは分かりますが、競技においてはルールを厳守することが最優先です。
プレーファストは、パットを省略することではなく、準備を早くするなど、別の方法で実現しましょう。
ゴルフのコンシードを知ってプレーを深く楽しもう(まとめ)
- コンシードはマッチプレーでのみ認められる正式なルールである
- パット、ホール、マッチの3種類があり、相手の権利で宣言される
- 一度宣言されたコンシードは拒否も取り消しもできない
- ストロークプレーでの「OK」はルール違反であり、スコアの正当性を失う
- コンシードは相手への敬意であると同時に、高度な戦略でもある
今回は、ゴルフ用語の中でも特に重要かつ奥深い「コンシード」について、その基本から戦略的な側面まで詳しく解説してきました。
コンシード(OK)は、単に短いパットを省略する便利なシステムではありません。
それは、1対1の真剣勝負であるマッチプレーにおいて、相手への敬意、プレーの迅速化、そして勝敗を分ける高度な心理戦のすべてが凝縮された、ゴルフの「ルール」そのものです。
「コンシードは相手の権利である」こと、「一度宣言されたら絶対である」こと、そして「ストロークプレーでは認められない」こと。
この3つの原則をしっかりと理解するだけで、あなたのゴルフ観戦やプレーは、間違いなく一段階深まるはずです。
次にゴルフ場で「OK」という言葉を聞いたとき、あるいはテレビ中継でコンシードの場面を見たとき、その背後にあるプレーヤーの意図や戦略、マナーに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
「コンシード」と聞くと、なんだか難しそうなルールに聞こえますが、要は「マッチプレーでのみ使える、相手を認める紳士的なルール」なんですね。
私自身、仲間内でのラウンドではついつい「OK、OK!」と気軽に言ってしまいがちですが、それがストロークプレーの競技だったら「失格」になると知って、少しヒヤッとしました。
でも、ルールを正しく知ることは、ゴルフを安全に、そして何より公平に楽しむための第一歩だと思います。
この記事が、皆さんのゴルフライフにおける「コンシード」への理解を深める一助となれば、これほど嬉しいことはありません。


