JLPGAステップ・アップ・ツアー2026シーズン第4戦「CTBCレディスオープン」は、台湾桃園市のThe Orient Golf & Country Clubで開催されました。賞金総額は5,000万円、優勝賞金は900万円。ステップ・アップ・ツアーの中でも大きな意味を持つ大会であり、日本勢だけでなくTLPGAツアーメンバーも加わる国際色のある一戦となりました。
大会は初日から雨、2日目以降は強風、さらに最終日は硬いグリーンと難しいピンポジションが選手を苦しめました。その中で優勝をつかんだのは、タイのシャーマン・サンティワットタナポン選手です。最終日は誰もアンダーパーを出せないほどのタフな一日となりましたが、通算3オーバーで我慢比べを制し、今大会初優勝を飾りました。
参照元:JLPGA公式「平岡瑠依ら4人が首位」「野澤真央 通算2アンダー2位で最終日へ」「タイのS・サンティワットタナポンが今大会初制覇」「最新情報ーCTBCレディスオープンー次戦へひとこと」
初日は雨の影響でスタートが遅れた中で4人が首位に並んだ
大会初日の5月14日は、降雨によるコースコンディション不良のため、スタート時間が2時間遅れる形で始まりました。難しい入り方となった第1ラウンドでしたが、その中で69をマークした平岡瑠依選手、TLPGAツアーメンバーのシー・ツェンシュエン選手、O.コンサンティア選手、石昱莉選手の4人が3アンダーで首位に並びました。
1打差の2アンダーには野澤真央選手ら5人が続き、初日から上位は混戦模様となりました。雨の影響でグリーンの状態も普段とは違い、選手によって得意不得意が分かれる一日だったといえます。
平岡選手は、パッティングの好感触を生かしてスコアをまとめました。過去の大会ではこのコースに苦手意識もあったようですが、初日からバーディーを奪えたことで流れを作ることができました。一方、シー・ツェンシュエン選手は、コースをよく知る強みを生かし、安定したマネジメントで首位発進を決めました。
野澤選手は2アンダーと上位につけたものの、本人としてはパッティングに課題を感じる内容でした。ショットの状態は悪くないだけに、残り2日間でグリーン上の感覚を合わせられるかが、優勝争いに加わるポイントになりました。
2日目は強風が吹き荒れ石昱莉が首位をキープした
大会第2日は、強風が吹き荒れるタフなコンディションとなりました。スコアを伸ばすというよりも、いかに大きく崩れずに耐えるかが求められる一日です。その中で、TLPGAツアーメンバーの石昱莉選手が通算3アンダーで首位をキープしました。
石選手は、強風の影響でグリーンを外す場面が多かったものの、アプローチとパッティングで粘り、スコアをまとめました。ショットだけで押し切るのが難しい状況でも、ショートゲームで耐えられる選手が上位に残る展開になりました。
1打差の通算2アンダー、2位には野澤真央選手が浮上しました。野澤選手はショットを大きく曲げることなく、チャンスにつけながら、ミスが出た場面でもアプローチでしのぐゴルフを展開。風の中でも粘り強くパーを拾い、最終日に優勝を狙える位置につけました。
通算イーブンパーの3位には武尾咲希選手が入りました。耐える展開になるほど集中力が増すタイプと話しており、最終日も少ないチャンスをものにできれば逆転の可能性がある位置でした。また、藤田かれん選手、千田萌花選手も4位タイにつけ、厳しい条件の中で上位争いに踏みとどまりました。
最終日はアンダーパーなしの過酷な我慢比べとなった
最終日の5月16日は、今大会でもっとも厳しい一日になりました。強風に加えて、硬いグリーンと難しいピンポジションが重なり、アンダーパーをマークした選手は一人もいませんでした。通常なら上位選手がスコアを伸ばして優勝争いを進めるところですが、この日はパーを守ること自体が大きな価値を持つ展開でした。
その中で勝利をつかんだのが、タイのシャーマン・サンティワットタナポン選手です。首位と4打差の通算1オーバーからスタートしたシャーマン選手は、前半を1アンダーで折り返し、後半10番でもバーディーを奪って一時は首位に立ちました。
しかし、12番からの3ホールでボギー、ボギー、ダブルボギーと一気にスコアを落とし、優勝争いから後退したようにも見えました。それでも気持ちを切らさず、15番以降はパーを重ねます。周囲の選手も厳しいコンディションに苦しみ、スコアを落とす展開となったことで、最終18番を迎えた時点で再び優勝のチャンスが残っていました。
18番グリーン上でリーダーボードを確認したシャーマン選手は、自分の名前が一番上にあることを知ります。残っていたのは下りの1.5メートルのパーパット。大きなプレッシャーの中でも慎重にラインを読み、落ち着いたリズムで沈めました。後続組もスコアを伸ばせず、通算3オーバーで今大会初優勝が決まりました。
吉本ここねは1打差の2位で悔しさと手応えを残した
日本勢では、吉本ここね選手が通算4オーバーで2位に入りました。優勝には1打届きませんでしたが、強風と暑さの中で3日間プレーし切ったことに手応えを感じる内容でした。
吉本選手は最終日、ダブルボギーが響いたことを悔やみながらも、順位やスコアを気にしすぎず、マネジメント通りにプレーすることへ集中していました。厳しい条件下で自分のゴルフを貫こうとした姿勢は、次戦以降にもつながりそうです。
3位タイには篠崎愛選手、藤田かれん選手、野澤真央選手ら6人が入りました。篠崎選手は、風に慣れるまで苦労しながらも、距離感や左右からの風への対応を徐々につかみ、精神面でも鍛えられた大会だったと振り返っています。
藤田選手は、高麗グリーンの攻略に苦しみながらも、前週の経験を生かしたショットには自信を深めました。野澤選手は2位で最終日を迎えましたが、最終日は風への対応に苦しみ、3日間いいゴルフを続ける難しさを感じる結果となりました。
シャーマン・サンティワットタナポンの優勝が今後につながる理由
シャーマン・サンティワットタナポン選手は、18歳でプロ転向し、米女子ツアーの下部ツアーや米女子ツアーで経験を積んできた選手です。現在も米女子下部ツアーを主戦場としていますが、今回のCTBCレディスオープン優勝によって、9月のソニー 日本女子プロゴルフ選手権大会の出場権と、11月のJLPGA最終プロテストの受験資格を得ました。
これは、単なる1勝以上に大きな意味を持つ結果です。JLPGAトーナメントへの関心も高く、今後日本でのプレー機会が増える可能性もあります。海外で経験を積んできた選手が、ステップ・アップ・ツアーの舞台で結果を出したことは、大会全体の国際色をさらに印象づけるものになりました。
今回の優勝は、派手にスコアを伸ばして勝った試合ではありません。むしろ、大きく崩れそうな場面を乗り越え、最後まで18ホールをやり切ったことでつかんだ勝利でした。強風、硬いグリーン、難しいピン位置という条件の中で、最後に必要だったのは技術だけでなく、目の前の一打に集中し続ける精神力だったといえます。
まとめ CTBCレディスオープン2026は耐える力が勝敗を分けた大会だった
CTBCレディスオープン2026は、初日の雨、2日目の強風、最終日の過酷なコースセッティングと、3日間を通して選手に高い対応力が求められる大会でした。初日は平岡瑠依選手ら4人が首位に並び、2日目は石昱莉選手が首位をキープ。最終日は、4打差からスタートしたシャーマン・サンティワットタナポン選手が、我慢比べを制して優勝しました。
日本勢では吉本ここね選手が2位、篠崎愛選手、藤田かれん選手、野澤真央選手らが3位タイに入りました。優勝には届かなかったものの、それぞれが難しい環境の中で課題と手応えを得た大会になったはずです。
大きくスコアを伸ばす華やかな試合とは違い、今回のCTBCレディスオープンは「耐える力」が勝敗を分けた大会でした。厳しい条件でも集中を切らさず、自分のゴルフを続けられるか。そこに、ツアーで戦い抜くための大切な要素が見えた一戦だったといえるでしょう。